
10cm四方の小さなガラス絵です。十年前の作品で、あの頃はガラス絵に夢中に取り組み、天からアイデアとやる気が降ってきていました。またあんなふうに打ち込める日が来るといいけど。いつの間にか日々の暮らしに追われて、精神が絵をかくモードにならないまま十年が過ぎてしまいました。自分には才能がないと言う前に、集中して打ち込むこと、アイデアは空中に漂ってるから、それを捕まえればいいだけ。好きだと思ったらもうそれで才能はある、と誰かが教えてくれました。
原画は手元に残っていませんので、これは絵葉書です。
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「雪のふる町を」 板に油彩 6号
「雪の降る町を」の歌は思い出の歌です。
雪などめったに降らない神戸で育った私は、札幌に住んだときに、毎日雪に興奮していました。アルバイト先のビルの窓から、下へ下へと落ちていく粉雪をあきずに眺めていたものです。雪国の人にとっては雪はやっかいなものなんですが、私には、すべてを白く美しく覆ってくれる雪は、まるで自分の醜い心まで浄化してくれるような気がしたのです。
溶けてからまた凍った雪は、アイスバーンになって、よく転びました。人々は滑らないように前かがみになって歩いて、そのうち私も滑らず歩けるようになりました。やがて春が来ると、雪が溶けて、シャーベットの中を歩いてるようになり、苦労しましたっけ。
11月に初雪がぶり、4月に春が来て、いっせいに花が咲くのは5月。半年の間、雪に閉じ込められる北国。北海道には21歳から5年暮らしました。